炊飯器の寿命はどれくらい?パーツごとの耐用年数や修理・処分の判断基準を解説

「ご飯がおいしくない」「異音がする」など、炊飯器の不調を感じていませんか?
一般的に炊飯器の寿命は6年と言われますが、実は部品ごとに目安が異なります。 本記事では、症状別の寿命サインや修理か買い替えかの判断基準、長持ちさせるコツを解説します。
1.炊飯器の寿命目安は3年~10年
炊飯器の寿命は、どのパーツを基準にするかによって変わります。ここでは「本体」「内釜」「内蔵電池」の3つに分けて、それぞれの寿命目安を見ていきましょう。
1-1.本体の寿命:6年~10年
炊飯器本体の寿命は、一般的に6年〜10年程度と言われています。この年数の根拠となっているのが、メーカーが定める補修用性能部品の保有期間です。
多くのメーカーでは、製品の製造打ち切りから6年間を部品の保有期間としています。この期間を過ぎると、万が一故障しても修理に必要な部品が手に入らない可能性が高くなるため、実質的な寿命の目安となります。
1-2.内釜の寿命:3年~5年
内釜の寿命は、本体よりも短い「3年~5年」程度が目安です。
その原因は、日々の炊飯による熱や、洗米時の摩擦などによって、表面のコーティング(フッ素加工)が徐々に劣化してしまうためです。 そのため、長く使っていれば本体よりも先に内釜が寿命を迎えることが多いです。
1-3.内蔵電池の寿命:4年~5年
「コンセントを抜くと時計の表示が消えてしまう」「毎回時刻合わせが必要になる」といった症状はありませんか?
これは故障ではなく、内部にある時刻記憶用のリチウム電池が切れているサインです。
電池の寿命は一般的に4年〜5年程度。電池が切れても、コンセントを差した状態であれば通常通り炊飯できることが多いですが、予約炊飯などが不便になる場合は電池交換が必要です。
2.これって故障?炊飯器の寿命を知らせる5つのサイン
「まだ使える気がするけれど、少し調子が悪い」という場合、それは炊飯器からの寿命のサインかもしれません。以下の5つの症状に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
2-1. ご飯がうまく炊けない(芯が残る・べちゃつく)
いつも通りにお米と水を入れているのに、炊き上がりのムラが出る場合、温度センサー(サーミスタ)が故障している可能性があります。 温度管理が正しくできていないと、おいしいご飯が炊けないだけでなく、生焼けなどの原因にもなります。
2-2. 内釜のコーティングが剥がれている
長く使っていると、内釜のフッ素加工が剥がれてくることがあります。 剥がれたフッ素加工が万が一ご飯に混じって口に入っても、人体に影響はありません。体内に吸収されず排出されるます。
ですが、コーティングが剥がれると、ご飯が内釜にこびりつきやすくなったり、熱伝導が変わって炊きムラの原因になったりします。快適に使うためには、内釜の交換や買い替えの検討が必要です。

2-3. 炊飯中や保温中に「異臭」がする
ご飯から変なにおいがする場合、パッキンの劣化や、洗いきれていない内部の汚れ(基盤やファン周辺の汚れなど)が原因かもしれません。
特にパッキンが劣化すると、密閉性が下がり、保温中にご飯が乾燥したり変色したりする原因にもなります。
2-4. 異音がする・電源が入らない
炊飯中に「ブーン」「ジー」という音が聞こえることがありますが、IH炊飯器などの動作音であれば問題ありません。
しかし、これまで聞いたことのない異常に大きな音がする場合や、電源コードが異常に熱くなっている場合は注意が必要です。特にコードの断線や接触不良は発火の恐れもあるため、すぐに使用を中止しましょう。
2-5. 液晶表示が消えている・予約できない
液晶表示が消えていたり、予約設定が保存できなかったりするのは、内蔵電池の寿命です。 一部の機種を除き、内蔵電池の交換はユーザー自身ではできず、メーカーへの修理依頼が必要になるケースがほとんどです。
3.修理か買い替えか? 判断するポイント
不具合が出たとき、修理に出すべきか、思い切って買い替えるべきか迷うところです。判断の基準として購入から6年という期間を目安にすることをおすすめします。
3-1.購入から6年未満の場合
まずは保証期間内かどうかを確認しましょう。保証期間内であれば無償、または安価で修理できる可能性があります。
また、不具合の原因が内釜の劣化だけであれば、メーカーから内釜だけを取り寄せて購入することで、本体ごと買い替えるよりも費用を抑えられます。
3-2.購入から6年以上経過している場合
購入から6年以上経っている場合は、買い替えをおすすめします。 理由は以下の2点です。
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部品がない可能性: 補修用性能部品の保有期間を過ぎていると、修理したくても部品がない場合があります。
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修理費用の高騰: 修理ができたとしても、費用が高額になり、新品を買うのと変わらない金額になることがあります。
また、最新の炊飯器は6年前のモデルに比べて省エネ性能やお米の甘みを引き出す機能が進化しています。長い目で見れば、買い替えた方が満足度が高いケースも多いでしょう。
4.炊飯器の寿命を縮めるNG行動と長持ちさせるコツ
せっかくの炊飯器、できるだけ長く大切に使いたいものです。日常のちょっとした習慣を見直すだけで、故障のリスクを減らすことができます。
4-1.内釜でお米を研がない
内釜でお米を研ぐと、お米とコーティングが摩擦を起こし、フッ素加工が剥がれる原因になります。 最近は「内釜洗米OK」の機種もありますが、コーティングを長持ちさせたい場合は、ボウルやザルを使ってお米を研ぎ、その後に内釜に移すのがベストです。

4-2.内釜の外側の水滴は必ず拭き取る
内釜の外側が濡れたままセットして炊飯していませんか? 外側に水滴がついていると、本体内部の温度センサーや基盤の故障につながる恐れがあります。セットする前には、必ず布巾で水気を拭き取る習慣をつけましょう。
4-3.保温時間を守る・長時間放置しない
推奨されている保温時間を超えて放置すると、ご飯が黄ばんだり臭いが出たりするだけでなく、内釜の腐食やパッキンへの臭い移りの原因になります。 長時間保温するよりも、早めに冷凍保存する方が、炊飯器への負担も少なく、ご飯のおいしさもキープできます。
5.寿命を迎えた炊飯器の処分方法
買い替えが決まり、古い炊飯器を処分する場合は、以下のいずれかの方法で適切に処分しましょう。
5-1.自治体のルールに従って捨てる
多くの自治体では「不燃ごみ」や「粗大ごみ」として扱われます。また、サイズによっては「小型家電リサイクル法」の対象となり、専用の回収ボックスに入れる場合もあります。お住まいの地域の分別ルールを確認してください。
5-2.家電量販店などの下取り・引き取りを利用する
新しい炊飯器を購入する際、古いものを引き取りしてくれる店舗があります。手間がかからずスムーズに入れ替えができます。
5-3.リサイクルショップやフリマアプリを利用する
まだ使える状態であれば、リサイクルショップでの買取やフリマアプリでの出品も選択肢の一つです。
まとめ
炊飯器の寿命目安となる6年を過ぎていたり、本体に異音などの不具合が出ていたりする場合は、思い切って買い替えを検討する時期です。
内釜の傷程度であれば部品交換で対応できることもありますが、「ご飯の味が落ちた」と感じるなら本体の機能低下が疑われます。
毎日使う家電ですので、寿命のサインを見逃して我慢して使い続けるよりも、美味しいご飯のために早めのメンテナンスや買い替え判断をすることをおすすめします。