R&D責任者インタビュー

2020.12.24

ハイアールジャパンリージョンの技術開発についてインタビュー! ユーザーファーストの徹底、日本のHaier/AQUAの文化融合、業界初の技術・機能について語られています。

「日本一」そして「世界一」を目指して

ハイアールは、2002年に日本市場における初の販売拠点を構築。
その後、2007年に三洋電機との冷蔵庫事業の商品開発提携を行いました。
2012年には従来のHaierブランドに並び、AQUAブランドの立ち上げとR&D部門を設立しています。
当時、日本の家電メーカーはその技術力の高さから、世界中で高い評価を受けていました。
私たちハイアールは、日本に拠点を構え「日本一」を目指すことで、「世界一」への階段を登れると考えたのです。
それから約8年、テクノロジーは進化し、loTも消費者の生活に浸透してきました。
私たちは綿密な市場調査の基、ユーザーの生活に寄り添いながら開発を繰り返すことで、約350億ドルの収益を達成。
「世界最大の家電メーカー」の地位を確立することができました。

しかし、日本におけるハイアールの認知度やブランド力はまだまだ弱く、成長の途中だと考えています。これからも、私たちはユーザーの生活に寄り添いながら開発を繰り返し、日本市場への貢献に挑みます。
引き続き「日本一」を目指し、延いては「世界一」のブランドになれるよう精進してまいり
ます。

ハイアールが徹底する「ユーザーファースト」


私は研究開発センターを立ち上げるために、2004年に来日しました。
当時を振り返ると、「ハイアール」と「三洋電機」には価値観や文化の相違があり、双方を
融合させるために非常に苦労しました。
と言うのも、2012年にハイアールが三洋電機の白物家電事業をグループ化したため、文化
に違いがあったことは無理もありません。

例えば、日本では物事を決める時に、経営者や上司の意向をとても尊重します。
しかし、ハイアールの文化では、経営者や上司の意向ではなく、ユーザーが本当に求めてい
るもの、つまり「ユーザーファースト」を徹底しています。
「企業側視点」から徹底的に「エンドユーザー側視点」へ。
ネット時代には、企業と消費者の関係も変わりつつあります。大量生産重視の企業側の時代から、エンドユーザー重視の商品創出の時代へと変わらなければいけない。
多くの日本企業が企業活動において大切にしている考え方に「QCD」があります。
QCDとは、「Quality(品質)」「Cost(費用)」「Delivery(納期)」の3つの頭文字を取った用語です。
QCDは「企業目線」の考え方であり、どうしてもユーザー目線が不足してしまいます。
そのため、私たちは「VPT」を軸に企業活動を行なっています。(意味:「Value(価値):消費者への価値」「Price(価格):適切な販売価格」「Timing(時期):消費者が求める時期」)
「どのような価値のある商品を、いくらで、いつお客様へ提供できるのか?」を追求し、ユーザーファーストの徹底、ユーザーの生活に寄り添う形で開発をしています。
ハイアールアジアR&DではVPTがスタンダードなのです。

ブランド・認知度の拡大と飽くなき開発で、日本の生活を豊かに

現状、私たちのブランドである、「Haier(ハイアール)」や「AQUA(アクア)」の認知度やブランド力は、まだまだ低く、当面は「ブランド力の向上」に重きを置く必要があります。
ブランド価値を高めるために一番重要なのは、商品の高付加価値化、差別化だと考えます。
我々は商品を企画・開発する際、エンドユーザーの潜在ニーズをベースに、「見える差別化」と「体験の差別化」を重視しています。
これらの商品の創出により、皆さんの生活をより安心、より便利にすることができると考え
ます。

例えば「見える差別化」の場合で言えば、日本のキッチンのサイズや使いやすさから、超薄型・斬新な外観デザインをしている冷蔵庫TZシリーズや、見える野菜室のDelie(デリエ)シリーズ。
超音波洗浄機を搭載した洗濯機のPrette(プレッテ)シリーズがそうです。売り場ではレイアウトや外観など、一目見て差別化がわかる商品です。
「体験の差別化」で言えば、業界初の冷凍鮮度保持機能など、エンドユーザーが使ってみて、今までに使った商品と全く違う体験ができる技術などです。

このような「見える差別化」と「体験の差別化」商品を創出することにより、量販店、消費者に喜んでいたただき、AQUA、Haierの両ブランドの価値を高めることになるのです。
当然ながら、販売会社のマーケティング及び販売の皆さんのイノベーションにより、この差別化商品を効率的に、世の中に広げていただく必要があります。
私たちの根元はシンプルです。
「お客様の生活を豊かにするためには」を模索し、企画開発に励んでいます。HaierやAQUAを通して、そんな未来を実現していきます。

ハイアールで必要なのは「想いの強さ」と「チャレンジ精神」


3年前の2017年、大手日系家電メーカーに勤めている68歳の男性と、食事をする機会があり
ました。
引退して自由な時間を楽しむ人が多い中、その方が懸命に働いているのがとても不思議だっ
たので、私は「なぜ、そこまで一生懸命に働いているのですか?」と尋ねてみました。
すると、その男性は「日本の家電技術はグローバルでも優位性があると確信しています。私が生きている間に、日本は家電の王国であると証明したいからです。」と答え、その想いの強さに、私は非常に感銘を受けました。
私が従業員に期待することは「”強い想い”を持つ」ことです。
自分はどんなことで世の中に貢献したいのか。強い意思と推進力は、ハイアールでは必要不可欠です。

また同時に、「自責」と「チャレンジ精神」も求められます。
言われたから動くのではなく、ユーザーが求めることをきちんと認識し、逆算して自責で動くのです。
むずかしい課題に直面することも多いかもしれません。
ただ、ネガティブに捉えるのではなく「やり遂げた先の未来」をワクワクしながら考えられる人は、弊社で活躍できると思います。
中途社員や若手社員に関係なく、想いの強さやチャレンジ精神があれば、どんどん挑戦でき
る環境がハイアールにはあります。
実際に、アイデア会議などでプロジェクトリーダーを任されている若手社員もいます。
私たちは今、成長フェーズなので試行錯誤の毎日です。
ぜひ「Haier と AQUAを 世界一のブランドにしたい」と思ってくれる人と一緒に働きたいですね。

プロフィール
時 振玉(ジ・シンギョク):ハイアールアジアR&D株式会社 取締役社長 兼 COO。大学卒業後、中国・青島にあるハイアール本社に入社。中央研究院にて技術戦略を担う。
2004年に、研究開発センターの立ち上げを日本で行うために来日。2006年には、ハイアールと三洋電機の「冷蔵庫合弁会社商談」に参画。その後、合弁会社にて商品企画開発担当部長として組織を率いた後、2015年からハイアールアジアR&D取締役社長に就任。